Vol.14
一杯の紅茶に映るのは、作り手と飲み手の満面の笑み
竹田雄一郎さん
日本紅茶協会認定ティーインストラクター(25期)
熊本で竹田製茶工場を経営。大学在学中に茶の研究を行う。研修先のイギリスで紅茶文化に触れ、自社での和紅茶製造に着手する。2018年に竹田製茶工場代表に就任、紅茶の美味しさと魅力を伝える活動に力を入れている。資格習得後は、紅茶セミナーやイベント、観光プログラムの講師として活躍している。
Q.お茶の生産者として忙しい日々の中、ティーインストラクターを習得した理由は?
初めてティーインストラクターを知ったのは、平成24年度くまもと紅茶互評会での事でした。審査員として参加されていたティーインストラクターの方が、出品紅茶を一定の基準で審査されており、紅茶の奥深さに興味を持ちました。私も生産者として参加していましたが、当時の自身で作る和紅茶に満足していませんでした。案の定「発酵不足を補った火香の付け方」と、的確に指導を受け自身の未熟さを自覚しました。手探りとネット上の製造方法を元に作る和紅茶作りに限界を感じており、それならいっそのこと紅茶のいろはを学んでみようと研修参加を決めました。もちろん仕事との両立も欠かせないものでしたので、周りや家族の協力がなければ習得も有り得ず、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
Q.和紅茶も生産されているとのことですが、苦労されていることなど教えて下さい。
紅茶は緑茶の栽培方法とは明確に違い、肥料の施肥量や防除・剪定方法など管理のすべてが出来上がった紅茶の品質を左右します。ましてや、国内工場の緑茶ラインは緑茶の製造に特化していて、紅茶の製造には、より人の手が必要になってしまいます。海外の紅茶の製造ラインにも多くの手作業がありますよね。茶摘みや選別作業など!それを日本で真似すれば人件費もかさみますし、高品質の和紅茶の製造が出来たとしても、海外のような生産力には及びません。悩ましいところではありますが、「好きこそものの上手なれ」と言い聞かせ日々努力しております。
Q.ティーインストラクターになって良かったことは?
生産者として無農薬の和紅茶作りを見直す機会をいただきました。和紅茶の味も変わり、多くのお客様に飲んで頂いております。また一緒に学んだ同期の存在は大きく、多方面で活躍されている姿をSNSなどで見て刺激をもらっています。たまにティーインストラクターとしての仕事も頂くこともありますが、あがり症の私も2時間のセミナーをなんとかこなせるようになりました。ティーインストラクターの研修は心技体を磨ける場所だったと思っています。
Q.今後の夢は?
まだまだこれからも、美味しい和紅茶作りを続けて行きます。そしていつの日か、茶畑の見える所に小さなティールームを作れたらと思います。もちろん季節を感じられる庭付きの敷地で、紅茶好きが集える温かな空間をイメージして。