Vol.06
「白き雪のミルクティー」
復興への祈りと紅茶の持つ和の力。
小島樹さん
日本紅茶協会ティーインストラクター(17期)
リプトンブルックボンドハウス紅茶教室専属講師
今回は2012年2月に開催されたティーインストラクター・オブ・ザ・イヤー2012でグランプリを受賞された小島樹さんにお話を伺いました。
Q.グランプリ受賞作、「白き雪のミルクティー」誕生のきっかけは?
実家の墓参りのため盛岡へ出かけた際、陸前高田の「雪っ子」という地酒に出会いました。昨年の東日本大震災で大きな被害にあわれ、そこから再建を果たした酒蔵のお酒です。そのお酒を使ってアレンジティーが出来たら、美味しくて、そして微力ながら復興へのお手伝いも出来るんじゃないかなって。アレンジする際には、紅茶と雪っ子と塩麹を使い、塩キャラメルのような味をイメージしながら作りました。今回の受賞はとてもうれしく思っています。多くの方に楽しんでいただけたらと思います。ぜひ皆様もレシピをご参照頂き、作ってみてください。
以下参照レシピ(日本紅茶協会にリンクします)
「白き雪のミルクティー」http://www.tea-a.gr.jp/contest/contest2012/recipe01.html
Q.紅茶との出会い、そしてティーインストラクターを目指したきっかけは?
母が紅茶好きでした。だから、子供のころからごく自然に紅茶を飲んでいたんです。家族の飲み物として、紅茶はいつも身近にありました。そして学生の時にデパートのイベントで初めてデモンストレーションをされている方をみたんです。ここで初めてティーインストラクターという方々に出会い「こういう仕事も有るんだ!」って。社会人になると、なんと紅茶担当の部署に配属になったんです。運命を感じました。なんだか紅茶の神様に引っ張られるみたいですね。これがティーインストラクターになろうと思ったきっかけです。
Q.ティーインストラクターになってよかった事は?
自分の人生が広がりました。これに尽きると思います。紅茶を軸に色々な方々と知り合って、そこから自分の興味もどんどん広がっていきました。特に先輩方から常に新しい刺激を受けています。そうやって自分の世界を広げていく中で、身につく事も沢山あって。知らぬ間にステップアップしてる自分に驚いたり喜びを感じたりすることも多いです。ある方に「何事も30年は修行、30年後にようやく何かが見えてくる。」そう教えていただいたことが有ります。今はがむしゃらに走っているだけですが、たぶん30年続けていたら、きっと何かが見えてきて、そこから自分の道を歩いてゆける。一生、紅茶と共に生きてくことができる。そう思えることが大きな魅力です。
Q.小島さんにとって、紅茶の魅力とは?
紅茶には心を和ませる作用があるといわれています。今までの経験からも思うのですが、「和」みたいなものが紅茶の魅力じゃないかなと思うんです。他の飲み物ってそうはいかないかなって。不思議ですよね。でも確かに、4人とか5人とか、もちろん二人でもそうですが、紅茶ってひとつのポットでいれて分け合うものですよね。「ひとつのポットから輪が生まれる」そんなことを思いながら私は紅茶をいれています。
Q.これからの夢・目標は?
先ほどお話しした事の続きになりますが、一生現役でやっていきたい。この先色々な環境の変化などあると思いますが、どんな形でもよいから紅茶に携わってゆきたいと思っています。同じ事を伝えるにしてもどの人のフィルターを通すかで伝わり方も違ってきますよね。多くの人に自分の想いを伝えられるように、これからも頑張ってゆきたいです。そのためにも勉強を続ける事は大事ですね。私は先輩インストラクターの方々に憧れてティーインストラクターになりました。自分がそうであったように、これから資格取得を目指す方やインストラクターになったばかりの人達に自分なりの紅茶の楽しさを伝えられるような存在になれたらなと思っています。
Q.後輩インストラクター、そしてこれから目指す人たちへのアドバイスがあれば是非
やはり、一歩踏み出しましょう!という事ですね。好きだと思ったら一歩!迷ったら一歩踏み出しましょう!必ず道は繋がります。私も、「あっ!」と思って紅茶の世界へ入って、「えいっ!」と思って養成研修に通って、「よしっ!」と思って今回のオブ・ザ・イヤーに参加しましたし(笑)。そうすると不思議と道が拓けてくるんですよね。うまくいかない時などはつい弱気な自分が出てしまいがちですが、そういう時こそ「頑張ろう!」ってポジティブに思えるようになりたい。そのためには、「迷ったらやってみる」の気持ちが大事ですね。そうすれば必ず光が見えてくる、そう信じています。太く活動できる時、細く活動できる時、人生の中で色々時期はあると思いますが、途切れない事が一番大事です。30年後に何か見えてくる事を楽しみにお互い紅茶を知り、学び、伝える事を続けてゆきましょう。